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私立大学の4割ほどが定員割れと言われている一方で、毎年いくつかの大学が新設されています。既存の大学であっても、学部・学科の新設や改編を行うところが少なくありません。今回は、新しい大学や学部ができるまでの流れにスポットを当ててみようと思います。

大学が新設されるまで

日本には大学の設置認可制度があり、大学を新しく作ろうと考えた場合には、必ず大学設置基準をクリアしなければなりません。学生が安心して研究に専念できるよう、教育課程や教員の充実はもちろん、施設や設備、大学を経営する母体の財産状況まで細部にわたりチェックが入ります。
昨今では教育の質の低下が話題になることも多く、教員の審査が厳しくなっているといいます。また、急激な国際化に伴う大学のグローバル化が叫ばれていることもあり、新設される大学や学部に求められる質は、従来よりもずっと高いものになっています。こうした状況から、高校生の皆さんにとって、新設大学や学部は魅力的に映るのではないでしょうか。

大学設置審査の観点例(一部)
・大学設置の趣旨や目的に照らして、大学等の名称が適切か。
・養成する人材像が明確になっているか。学生確保の見通しや地域のニーズが考慮されているか。
・大学設置の趣旨や目的に照らして、必要な専任教員が配置されているか。また、教員の年齢が過度に偏っていないか。
・校舎などの施設や設備は基準を満たしているか。
・新たに大学等を運営していくにあたっての充分な経費等が確保されているか。


  次に、認可がおりるまでのスケジュールを見てみましょう。2015年4月から大学を新設しようと考えた場合、申請期限は開設前々年度の3月末(つまり2014年3月)となります。そこから半年余りの審査を経て、認可がおりるのは2014年の10月末となります。この期間、まず大学の構想が面接によって審査され、次にカリキュラムや教員補充といった実務面の審査が行われます。申請者は審議会まで出向いて面接を受け、対話を繰り返す中で疑問点について詳しい説明を求められるといいます。また、審議する側、つまり審議会のメンバーは、全体の2割以上が産業界など大学以外の分野から選出されるそうです。さらに経営面については、公認会計士など実務の専門家の厳しいチェックが入ります。
よって、開設準備にあたる人たちは、設置審査と同時に、1期生の募集準備、校舎・設備などの建築などを並行して処理し続けなければなりません。学部・学科の新設・改編の場合だと、審査のスケジュールは数か月単位となります。

新設される大学や学部の課題は?

少子化で学生の奪い合いとなっている時代、新設される大学や学部は社会の新しいニーズにいち早く応えることが求められています。そのため、新設される学部の名称も多様化しており、複合分野をイメージさせるものが増えています。その一方で増え続ける大学の在り方に警鐘を鳴らす声も聞かれます。2012年秋に当時の田中文部科学大臣が巻き起こした「大学不認可騒動」はその代表例と言えるでしょう。審議会が設置を認めた大学の新設を突然ひっくり返して不認可とし、その後再度決定を覆して大学新設を認めたという騒ぎです。
この不認可決定には、その手法はともかくとして賛成した人も少なくありませんでした。その理由は次の通りです。
①大学が増えすぎ、質が低下している。
②大学間による学生の奪い合いが激化し、大学運営に支障をきたしている。
③大学の設置を認めた審議会の委員が大学関係者ばかりで、厳正さに欠ける。
大学進学率の急激な上昇に伴い、現在は大学全入時代とも呼ばれます。大学の大衆化が進む中、その影響についてはそれまで深く議論がされていなかったのです。その点について、大臣が訴えた問題提起を重くとらえようとした人も多かったのです。実際、同じ時期に申請があった中でも9校が申請を取り下げ、16校が改善点を指摘され認可が保留されたといいますから、チェックが厳しくなったことは事実のようです。
新設大学や学部へ進学するということは、一部の人が鳴らす警鐘に対する答えを示す使命を背負うことにつながります。社会の各分野で活躍している先輩方の存在も知名度も信頼度もありません。学生一人一人が、自分たちが社会で信頼される活躍をすることで、はじめて大学(学部)が信頼されるようになるという自覚を持って、何事にも真剣に取り組むことが求められます。そのため、こうした大学では、入学試験で入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を全面に打ち出した上での推薦・AO入試も実施し、在学中の教育に関する方針も明確に打ち出し、卒業認定についても方針を定め、いわゆる出口管理を厳しく行うことで、社会に対する卒業生の質の保証とする傾向があることを知っておきましょう。

注目したい大学・学部

2013年度に新設された大学は4校に留まりましたが、有名大学の学部・学科の新設が目立ちました。明治大学が新設した「総合数理学部」は、世界的な研究拠点の創出を目指すグローバルCOEプログラムに明治大学が採択された(現象数理学の形成と発展)ことに基づいて誕生しました。同志社大学は「グローバル地域文化学部」を新設しました。同学部の学生はヨーロッパ、アジア・太平洋、アメリカの3コースのいずれかに属し、各地域の言語を使いながら自ら設定した問題を解決する力を身につけることを目指すといいます。どちらの学部も最初から世界を視野に入れており、新設の意図がハッキリしていることが特徴的です。
2014年4月に新設される大学は5校ですが、学部・学科の新設は前年同様盛んです。国立大学では、秋田大学の「工学資源学部を国際資源学部と理工学部へ再編」と長崎大学の「多文化社会学部」の新設が注目されています。私立大学では上智大学の「総合グローバル学部」新設が話題です。国際的公共知識人の育成が目標に掲げられており、前述の明治大・同志社大と同様の意図が読み取れます。学科の改編については様々な大学で行われているためここでは紹介しきれませんが、時代や社会のニーズに応えるために新設される大学・学部には魅力がたくさんあります。自分の興味・関心と一致するものがあれば積極的に情報収集してみることをお勧めします!

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