現在の大学入試センター試験のシステムは、1990年の開始から25年、前身である共通一次試験も含めれば35年もの間採用されてきました。ですが、大学入試を取り巻く環境は近年急激に変化しており、現在のシステムにはいくつかの問題点があると指摘されています。
問題点の第一としてあげられるのは、センター試験そのものについてです。「年に1度、1点刻みの一発勝負」によるシステムが受験生への負担を増している(体調管理など)という意見は、昔から論じられてきました。また、マークシートという解答方法の弊害(選択肢の中から解答を探す勉強は考える力に結びつかない等)も指摘され、「考える力の育成」にそぐわない一面があるとも言われています。
第二に、大学入試が広き門になったことです。1990年頃には30%前後だった4年制大学への進学率は現在50%を超え、大学の収容力(入学者数/志願者数)は90%に達していて(1990年頃は60%台だった)、点数競争だけが大学入試ではなくなっているのです。特に、私立大学全体では約4割が推薦入試、約1割がAO入試での入学者で、学力試験を受けていない学生の学力担保が近年大きな課題となっているのです。これらの問題点を解消することが、今回のセンター試験の見直しにつながりました。そして、具体的な改革としてセンター試験を廃止して新たに達成度テスト(仮称)の設置が検討されています。