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大学入試センター試験のしくみが変わろうとしています。早ければ2018年1月実施分から新システムを稼働させるべく検討に入っているそうです。今回は、センター試験の今後について紹介していきます。変更に至る背景や変更内容について見ていきましょう。

センター試験改革の必要性

現在の大学入試センター試験のシステムは、1990年の開始から25年、前身である共通一次試験も含めれば35年もの間採用されてきました。ですが、大学入試を取り巻く環境は近年急激に変化しており、現在のシステムにはいくつかの問題点があると指摘されています。

問題点の第一としてあげられるのは、センター試験そのものについてです。「年に1度、1点刻みの一発勝負」によるシステムが受験生への負担を増している(体調管理など)という意見は、昔から論じられてきました。また、マークシートという解答方法の弊害(選択肢の中から解答を探す勉強は考える力に結びつかない等)も指摘され、「考える力の育成」にそぐわない一面があるとも言われています。

第二に、大学入試が広き門になったことです。1990年頃には30%前後だった4年制大学への進学率は現在50%を超え、大学の収容力(入学者数/志願者数)は90%に達していて(1990年頃は60%台だった)、点数競争だけが大学入試ではなくなっているのです。特に、私立大学全体では約4割が推薦入試、約1割がAO入試での入学者で、学力試験を受けていない学生の学力担保が近年大きな課題となっているのです。これらの問題点を解消することが、今回のセンター試験の見直しにつながりました。そして、具体的な改革としてセンター試験を廃止して新たに達成度テスト(仮称)の設置が検討されています。

達成度テストのしくみ

2014年1月現在、達成度テスト(仮称)の中身は、報道などによると以下のようになっています。

①「基礎」「発展」の2種類を設ける。
②複数回の受験機会が与えられる(「基礎」のみという案もある)。

内容については今後様々な変更が加えられるはずですが、現時点での提案は、

・「基礎」…高校在学中の定着度、基礎学力をみる。また、推薦入試・AO入試の判定材料として大学が採用する。
・「発展」…現行のセンター試験同様に一般入試における判定材料とする。また、1点刻みの点数制ではなく、A~Dのようなランクで表記する。

などとなっているようです。複数回受けられ、その中から最もいい成績を志望大学に提出すればいいというわけです。

テストの難易度は、現行のセンター試験において日本史や世界史で用いられている「A科目・B科目」の区分けが目安になるようです。単位数2のA科目が「基礎」、単位数4のB科目が「発展」のイメージでとらえるとわかりやすいですね。A科目・B科目の違いは、簡単に言えば「学習範囲の広さの違い」ですから、いわゆる入試問題レベルといわれる発展的な内容が含まれるかどうかの差と考えればよいでしょう。ここは現在高校生の皆さんにも知っておいていただきたいところですが、現行のセンター試験においてB科目を課すのは国公立大学や難関私立大学が中心で、多くの私立大学ではA科目での受験も認められています。

達成度テスト、メリットとデメリット

達成度テストの導入を一番待ち望んでいるのは、高校の先生方かもしれません。なぜなら、高校生の勉強時間の減少が問題視されているからです。高校生の学校外における平日の学習時間は、ここ数年大きく減少しています。特に偏差値50~ 55の中間層(人数の多い層)では、1990年の112・1分から2006年には60・3分と半減しているのです(*)。

そうした中で、大学入試に直結するテストが段階的に実施されれば、生徒は日頃の勉強の目標を見出しやすくなります。高校生のふだんの学力(本番で発揮できる力)を指標化できることを歓迎する先生方は多いはずです。また、生徒にとっても複数の受験機会が与えられるということは、1回ダメでも「まだ次がある!」という勉強の動機付けにつながります。何度か受験をして、最もよかった成績を提出できるとなれば、「次もがんばろう」と思いますよね。

成績上位層にもメリットがあります。従来のセンター試験が大学入試において存在感を増せば増すほど、いわゆる受験テクニック・要領が重視されるようになります。高校でセンター試験対策に授業時間が割り振られ、これに対して疑問の声が挙がっています。大学入学後や社会人になってからも必要とされる課題解決に必要な思考力・判断力・表現力の養成が高校教育で軽視されていることになると、将来グローバル社会で活躍する若者の世界レベルでの競争力に影響を及ぼす可能性もあるでしょう。今回の変更は、そういった意味では改善につながるかもしれません。当然ながら、一発勝負でなくなることも、当日の運や調子によって結果が左右される可能性が減るので大きなメリットでしょう。

その一方で、いくつかのデメリットも考えられます。達成度テストへの移行は「高3の夏から全力で頑張ろう!」という追い込み型の学生にとっては不利になります。高校時代は部活はもちろん、自分の夢や目標に向かって勉強以外にも興味・関心が増え、視野が広がる時期です。勉強以外のことにも全力集中したいですよね。それで一時期成績が落ちたとしても、現行のシステムであれば自分の努力次第で挽回が可能でした。ところが、新システムになれば、高校2年生の段階から勉強も部活もバランスよく時間を割かなければなりません。また、達成度テスト導入の大きな目的が、複数の受験機会を設けて成績中間層の学力を底上げすることにあるので、成績上位層や中高一貫校に通う生徒が早い段階で結果を出してしまえば、「あとは学校に通わずに予備校に行こう」などという考えにつながることも予想されます。

高校に通う意味、高校生活で得られる尊いものを、それぞれの高校がもう一度見直して魅力ある高校生活を提案できるか否かが、高校の人気を左右することになるでしょう。大学受験の実績を全面に押し出して予備校化をすすめている高校にとっては“やっかいな変更”になるかもしれません。

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