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大学の大事な役割の一つに「最先端の技術や研究成果を世の中に還元すること」があります。こうした取り組みには、研究者や大学院生だけでなく、学部生が関わることも珍しくありません。実際に商品化されてもいるのですよ。今回はそうした取り組みを見てみましょう。

産官学連携とは?

大学が行政や企業などと協力して、研究成果を商品やシステム開発などの形で世の中に還元しようとする動きのことを産官学連携と呼びます。東日本大震災の際には、大学の調査結果を被災地域の自治体や企業に還元することで、間接的に大きな手助けを果たしました。これも連携の一例です。
 特に、理系学部においては、企業などの協力を得ながら共同研究を行うことがしばしばあります。学生は自分が学んでいることの実用性や価値を検証することができるため、非常に意義のあるものとして注目されています。学生のうちにこうした経験を積むことで、現時点での自分の力がどこまで社会で通用するのかを試すことができるのです。学外の第三者との意見交換ができたり、研究成果を目に見えるものとして残すことができたりと、社会性(就職・仕事に対する意識)の向上や、学問に対するモチベーションの向上にもつながります。
 学部生であっても、自分次第でいくらでも実践的な目標を持つことが可能です。大学入学後もテストの点数や成績に一喜一憂するのは高校までと同じですが、それだけではもったいないですね。産官学連携事業に関わるチャンスがあるなら、積極的に参加してみてはいかがでしょうか。それでは次に、産官学連携の具体例をいくつか紹介しましょう。

産官学連携の実例

①名古屋工業大学
情報工学科の徳田・李・南角研究室が開発した音声合成ツールキット「HTS」は、“声を真似る”や“声を混ぜる”といった機能を実現可能にするものだそうです。すでに携帯電話の音声合成ソフトや音声対話技術として商品化されており、人間同士の会話のように「しゃべれば答えてくれる」感覚で機能を利用できる音声対話の画期的進化に貢献しています。こうした技術が大学の研究室から発信されて、近くで学ぶことができるのは大変な魅力ですね。この技術、なんと公開されていて誰でも無償で利用可能であるため、製品レベルでの実用化が次々と進んでいます。次に新製品を開発するのは、学部生たち自身かもしれません。

②法政大学
デザイン工学部システムデザイン学科に在籍する学生が、自分たちで団体を立ち上げて自転車かご専用のひったくり防止カバーを独自に開発してすでに発売されています。
この団体には顧問に教授が就いているものの、実際に市場調査をしてデザインを選定し、発売までこぎつけたのはすべて学生たちです。「防犯対策された自転車は狙わない」という実際のひったくり犯の証言をもとに、実用性があり、使いたいと思わせるようなデザインを考え抜いたというのですから、その情熱と行動力には驚かされます。調査データを学生間で引き継ぎ試行錯誤を続け、商品化するまでに4年もの歳月がかかったそうです。彼らにとって、結果だけでなく、失敗も含めてすべてが貴重な経験だと言えるでしょう。ちなみに、この団体による商品化はこれが3例目だそうです。

③福島大学
共生システム理工学類の八代勉ゼミで学ぶ学生たちは、ニキビの予防や治療に効果がある高濃度の銀イオン水を使った美容液「銀の雫」を商品化しました。大手化粧品メーカーへOEM(相手先ブランドによる受託生産)で供給することも検討しているというから本格的です。
協力企業が新技術によって高濃度銀イオン水の精製技術を確立したことを受け、その新技術を活用した商品開発をゼミ活動の一環として行ったそうです。実際のユーザーであり、色々な商品の長所短所を知っている大学生たちが売り出す商品ですから、使い心地や安全性を評価する人も多いことでしょう。販売のターゲット層を10代半ばから20代半ばに設定、パッケージや名称も学生たちが決めるという徹底ぶり。講義を受けているだけでは絶対に味わえないやりがいを得たに違いありません。

④西日本工業大学
この大学では、自動車産業が集積している地域にある立地を活かし、地元企業や工場との連携を強めています。特に、日産自動車九州との間で産学連携協定を結び、現場における実務課題を卒業論文テーマとする仕組みまで出来あがっています。実際、工場からの依頼を卒論テーマにした工学部生が1年間かけて研究を進めた結果、「屋外用AGV(無人搬送車)の障害物センシング(認識)システム」の共同研究開発に成功。このシステムは、実際に工場が製造コスト削減の一つの手段として研究開発を進めていたものだそうで、開発の成功は非常に価値の高いものです。学生が在籍していた研究室の教授も、研究テーマに着手後、学生が技術者として成長していくのを実感していたそうです。

Close UP! 話題の「近大マグロⓇ」

日本人に人気の高いマグロ。日本は世界で水揚げされるマグロ類のおよそ3割を消費しているそうで、今後漁獲量が減っていくと言われている中、食べられる機会が減ってしまう可能性が あります。そんな中で注目されているのが、これまで難しいとされてきたマグロの完全養殖(卵を人工ふ化させ、成魚となった後さらにその卵を人工ふ化させて育てていく方法)です。
近畿大学農学部水産増殖学研究室では、クロマグロをはじめとした魚類などの養殖生産研究で成果を出していることで有名です。2004年からは完全養殖のクロマグロ「近大マグロⓇ」 を出荷(卒業)、百貨店などで販売されています。また、「近畿大学水産研究所」と名づけたレストランを東京(銀座)と大阪(梅田)に開店、予約が取れないほど人気だというニュースが話題になっています。この店では農学部食品栄養学科の学生が開発した新メニューも登場するなど、学生が積極的に参加できる仕掛けもたくさん用意されているそうです。

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