関塾タイムス
卒業論文って?

最近では、高校生でも卒業課題として作成・提出する学校が増えている「卒業論文」ですが、大学生が取り組む論文は高校生のそれとは重みが全く違います。その意義をはじめ、単なるレポートとの違いやルールなどについて、ある程度の予備知識を持っておきたいですね。

卒業論文とは?

大学生にとって、卒業論文とは大学時代の学びの集大成です。自分の専攻の中から、ゼミなどを通してより深く学び、興味・関心を抱いたテーマについてしっかりまとめあげたものが卒業論文となります。理系であれば、自分が仮説を立てて扱った実験結果などの研究成果をまとめたものとなるでしょう。そのテーマは様々です。この卒業論文により学士という学位が与えられます。
ちなみに、修士論文とは大学院2年(博士課程前期)で、博士論文とはその後(博士課程後期)で仕上げるものです。修士論文・博士論文においては、独自の発見や見解を述べる必要も出てきます。しかも、それらは今後の社会全般や学問分野に役に立つものでなければなりません。その基準は卒業論文に比べるとはるかに厳しくなります。
博士論文ともなると国会図書館に保存され閲覧できるようになりますので、その学問的価値は高いと言えます。

テーマとの「運命の出会い」が必要

最近は高校でも卒業論文が課されることがあります。その多くは「自分の興味関心を知り、志望する学部・学科を決めるヒントにすること」を目的としています。高校生の場合、論文のテーマを見つけることが大切なのであって、中身について詳しく問われることはあまりありません(枚数などの条件はあります)。一方で、大学の卒業論文は前述のとおり学びの集大成です。ですから、まずはテーマとの「運命の出会い」がないと始まりません。普段の授業においても、ただ講義を聞いてノートを取りテストを受け成績をもらうだけの受け身の姿勢では、テーマを見つけることなどできないでしょう。自分の好奇心をフル回転させて「これが一番面白い!」と思える学問テーマを追い求めることが必要です。
また、レポートと比べた時、文字数に大きな差があります。文系学部を見てみると「2万字以上(400字詰原稿用紙50枚以上)」という基準を課しているところが多いようです。また、データや図・表を挿入して、論文全体の論理にブレのない一貫した文章を書かなければなりません。そのため、卒業論文では、大学教員から指導を受ける必要も生じてきます。教員とのやりとりから、多くの大学生が論理的で説得力のある文章の書き方(文章構成力)を段階的に学んでいきます。

卒論に取りかかる時期と期間

大学の卒業論文は、テーマの選定を含めると長くて2年間、最低でも1年間の時間を費やしてじっくり取り組みます。理系の学生であれば数々の実験をこなす必要がありますし、文系であれば必要な情報を得るために調査や取材が必要となるでしょう。調査・取材対象者への連絡や許可取りはもちろん、その後のお礼に至るまで何もかも自分一人でこなさなければなりません。テーマによっては、政府や自治体が主催するシンポジウムや報告会からも有益な情報が得られることがあります。時期を逸してしまわないように事前の情報収集、スケジュール管理も大切です。
また、論文提出後には「卒論発表会」「卒論口頭試問」といった、卒業試験に準ずる機会を設けている大学も多くあります。指導教官や同じゼミの学生たちの前で論文の内容についてプレゼンをし、いくつかの専門的な質問に答えたり、討論をこなしたりしなければなりません。内容を本当に理解して本質に迫っているか、あやふやな論理展開になっていないかなどをチェックされます。論文とは別にプレゼン用の資料を作る場合もあり、その作成に費やす時間も必要となってきます。

卒業論文の書き方

論文にはある程度書き方のルールがあります。ここではIMRAD型式と呼ばれるものを簡単に紹介します。例えば「消費税8%が高齢者に与える影響」という卒業論文であれば、
①タイトル・要約
「消費税8%が高齢者に与える影響」
②背景・問題提起
具体的に困っている実例、報道、文献などを挙げ「困っているはずだ」という仮説を立てる(問題提起)。本当に消費税のせいなのか、他に理由がないのかなど自分が調べようとしていることを明記する。
方法
「高齢者にアンケートを取る」など、仮説を検証する具体的な調査方法の紹介。調査対象となる高齢者の属性・居住地など、結果に影響を及ぼす可能性があるので慎重に選定する。
③結果
調査で得られたデータについて説明。ここで示したデータは「自分が立てた仮説(高齢者は困っているはずだ)」に対する答えとして有意なもの、根拠となるものを選んで紹介する。客観性を重視し確証のないことは述べない。
④考察
紹介した調査結果や他の文献からの引用をもとに自分の立てた仮説が正しいとする理由を記述する。ここで初めて「自分の考え」も述べる。アンケート対象者のことなど、調査そのものの妥当性も述べる必要がある。調査方法が間違っていたことを指摘されると、論文そのものの意味がなくなってしまう。
⑤まとめ
まとめ。調査結果をもとにした解決策の提案など。

という流れになります。字数・枚数の制限がある場合は、ボリュームをどのように割り振って記述するかも大切なポイントになります。
大学では、高校までとは違い能動的に学ぶことが必要です。その集大成が卒業論文です。皆さんも、そのつもりで大学生活に挑んでくださいね。

文献引用のルール
卒業論文の場合、自分の仮説を立証するために出版物や他の論文などを引用することが少なくありません。
その場合はルールに従うことが大前提で、著者名・書籍名・論文名・引用ページ等の出所をきちんと明記します。これが明記されていない部分の記述は自分自身の発見や見解となるた め、断りなしの引用は「他の人の発見や見解を盗んだ(=剽窃)」とみなされ、論文の価値を無にしてしまいます。気をつけたいですね。

資料請求

教室検索

講師募集